ケインズは天才的な経済学者で、いわゆるマクロ経済学の基礎となる理論を展開した。
もっとも、表現力は乏しかったらしく、彼の直感的な言葉や文章は、本人ですらよく説明できないくらいだったと言われている。
それでも、彼の理論に基づく金融財政政策によって、過去に何度も不況を克服し経済の安定が図られてきたことは事実である。
しかし残念ながら、日本のバブル崩壊後の平成不況は勝手が違った。
政府による財政政策と日銀による金融政策によっても、完全な景気回復は実現されなかった。
莫大な財政支出と超低金利によるマネーサプライは、バブルによる負の遺産の解消に費やされ、肝心の消費や投資の向上にまで及ばなかった。
幸い中国やアメリカへの輸出によって、多少の経済成長は見られたが、国内需要は冷え込んだままだ。
政府は、この中国特需とも言われる経済成長に力点を置いて、政策の効果を強調する傾向にあるが、所詮ポジショントークである。
現実には、企業のリストラによる労働者の所得の低下と莫大な財政赤字に苦しむ事態になった。
加えて最近では、アメリカのサブプライムショックに端を発するダメージや先物市場におけるマネーゲームによる物価高騰に足元を救われ、日本経済には再び暗雲が立ち込めている。
政府は有効な対策を打ち出すどころか、自分たちの懐具合やポジションばかりを心配しており、実に低レベルな国政状況を曝け出している。
国民の貯蓄率は著しく低下し、外国人投資家は既に日本市場から手を引き、日本がパッとしない国との評価を露にしている。
更に、長期的には少子高齢化が日本の労働人口を減少させ、国力の減退に拍車をかける。
「失われた10年」は終わるどころか、相変わらずぶすぶすと燻り続け、今再び炎を上げようとしているのだ。
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